又四郎の強い意向もあり、刑事告訴にはならずに済んだ今回の傷害事件。


主犯は澤部の兄、澤部広重。

澤部広重は未成年者略取誘拐及び傷害、自殺教唆の罪で逮捕された。



弟の澤部一也は、全面自供し、傷害教唆の容疑で逮捕されたが、兄が犯行を認めた事で釈放。

他校へ転校し、織田高校を去った。
実質、退学に近い転校だった。



学校側としても、このような事件が起こった以上、芹沢は懲戒免職にする意向だった。
しかし、又四郎はそれを許さず、学校側は芹沢を教員教育センターへ転勤させる事に成った。


近藤、土方、斎藤、永倉四人は、本来なら退学し、少年院送致の刑罰を受けるが、学校側からは謹慎60日と言う処分で幕引きされた。



甘過ぎると反発の声も在ったが、又四郎はそれ以上を望まなかった。



又四郎の手術費用、その他は全て芹沢が負担し、学校を去っていった。




「まあな・・・。奴等にも将来はあるからな・・・。」



小野忠明はボヤいていたが、又四郎にその気も無いようなので方々手を尽くして、マスコミも極力抑え込んで事件は終わった。




夏も盛り、8月も間も無く終わる。



盆を済ませたら、二学期になる。



嵐のような夏だった・・・。




又四郎に関わった人達は、一様に少なからず変化した。



良い変化も、悪い変化も。


特別なこの高校一年の夏は、又四郎を取り巻く彼等の人生に大きなうねりをもたらして居たことは確かだ。



色々な事が、これから少しずつ動き出す予感を、皆は感じていたのかも知れない。




もう少し、灼熱の夏は続く。