先に風呂に入った遙は、又四郎の原始人並みのリアクションを思い出して、クスクスと笑っていた。


小野遙は、来週16歳になる。

今年、高校に進学したばかりだ。

正義感が強く、困っている人を放って置けない性格と、勉強もそこそこ出来るので、人望もある。
部活動は小さい頃からやっていた剣道部に入部したが、ある事件を切っ掛けに、最近は行っていない。

容姿は決して悪くない。
むしろ、美貌である。

ショートカットで男に見られる時もあるが、高校生になって、出るところは出始めている。

身長も166センチだ。
声も澄んで、流石は剣道少女といったところだ。



お風呂で、又四郎の事を思い出し笑いしていて、ふと、我に返る。


「あ〜あっ・・・。部活どうしよう・・・。」


高校生にも色々と在るわけだ。



ガラガラガラ。



お風呂の戸が開く音が聞こえた。


兄さんがタオルでも、置きに来たのかと思ったが、脱衣場で服を脱いでいる気配がある。


と、思ったら、風呂場のサッシが開いて、又四郎が入ってきた。


状況を掴めない遙。


又四郎は遙を見届けると、突如その場に気絶した。



「ちょっと、あれ、ええっ!!!」



又四郎を叩く、が、目を回して倒れてしまっている。


「兄さん!!ちょっと!!又四郎が倒れた!」



「なんだ!覗きの現行犯か!?ん・・・。おい、しっかりしろ!起きねぇか!」


全然起きない。


「ったく、しかたねぇな〜・・・。おい、遙、服を着ろ!目のやり場に困る・・・。じゃなくて、布団まで運ぶぞ!」


頭と足を持って、二人は又四郎を布団まで運ぶ。


「こいつ、間違いなく童貞だな。」


「ちょっと、兄さん!!」


「わりぃ、わりぃ。」



又四郎は朝までぐっすり眠った。