《4月》
桜が雨の影響で少し散り始めた頃。
私、桐島麻祐華は高校の入学式を迎えました。

「おかあさーん!まだ???」
ばっちりメイクして、髪もゆるく巻いて、準備万端の私は、
玄関でお母さんを待っていた。
「はいはい、今行きますよー」
「もー、遅刻しちゃうよー!」
楽しみでうきうきの私はお母さんを急かし学校に急いだ。

新しい制服。
新しい学校。
新しい友達。

期待と不安でいっぱいの私。
そんな私を安心させるようにお母さんが
「麻祐華なら大丈夫。だってお母さんの子だもの。
今日も可愛くて素敵よ。」
そう言った。
私のお母さんは、芸能人。
有名女優で、今も連ドラの真っ最中。
忙しくても、私の学校行事はちゃんと来てくれる。
お父さんも俳優だけど、今は映画撮影の為、
韓国に行っている。

そんな私もまだデビューはしてないけど
アーティストを目指して練習中。
お母さんは芸能学校を勧めたけど、
私は友達と離れたくなかった。
親友と。
だからあえて普通の高校に入学。

「麻祐華ー!」
校門の近くで車を降りたとき、親友の
田村彩織が待っていた。

「彩織!お待たせ!」
「もー、待ちくたびれたよー。いこっ!」

お母さん達を置いてクラスを見て教室に向かった。
彩織は私が練習生なのも、
両親が芸能人なのも知っている。
彩織も同じく練習生。
2人で夢を追っている。奇跡的に彩織とは同じクラスで、
席も近かった。