あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



さすがに梅干しはもう無くなったのだが、朱の天敵(嫌いなおかず)はまだ弁当箱の中にいる。
ピーマン、玉ねぎ、にんじん。こやつらを見たときの朱の顔と言ったら……

もう見るだけでも嫌なのに口に入れるなんてとんでもない。

なので、


「秀?」
「あ?」


ニッコリと笑った朱は、無防備に開いた秀俊の口にまず始めににんじんを突っ込んだ……と言うのがことの真相である。

全ての天敵(嫌いなおかず!)を秀俊の口に突っ込ませた朱は今は美味しそうに弁当を頬張っている。
(あんな嫌そうな顔してたくせに、嫌いなもん無くなった途端これかよ……たくっ厳禁なヤツ)