あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―

けれども、分かっていても胸にくるものがあった。

自分では、足を引っ張ってしまうことなんてザラにあるしそのことで部員を苛立たせてしまっているときだってきっとあるだろう。

だから、仲の良い朱と比べられることだってあった。朱の方が、表面上はめんどくさがっていたとしてもやることはキチッとしてくるし、なにより気が回る。


「……アンタはちょっと気負いすぎなのよ」


梨乃の内情を察したのだろう。この人は察しがいい。

慧の大きな手が梨乃の頭に再び触れる。また、撫でてくれるのかと思い目を閉じるとなんと言うか……突然重力を感じた。