あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる秀俊に底知れぬ胸の痛みを感じながらそっか、と想いを顔に出さずに返事をする。

本当に秀はバカだなぁ。そんなつらそうな顔してたら何考えてるかなんてすぐに分かっちゃうよ。


「よしっ梨乃。と言うことで昼休み屋上ね?」
「……うん」


ようやく泣き止んだ梨乃が鼻をずびっとかんでから、弱々しく頷いた。

これなら授業中に先生に何か言われる心配も無いだろう。授業中にぼろぼろ泣かれたらさすがに朱も秀俊も心が痛むし、色々と焦る。

目のまわりの腫れ具合と赤さはどうにもならないが。