朱はそこまで言い切ってちらりと時計を見た。……よし、あと五分はある。
そう考えた後に机に手を忍ばせて授業中に鳴らないようにあらかじめマナーモードに設定しておいたお目当ての物を取り出す。
「的場先輩に連絡すんのか?」
「それ以外今使う用途が見当たらないと思うよ?」
スマホの電源を入れて画面をスライドする。お気に入りの海の画像を背景に様々なアプリが一斉に並んだ。
その数多くのアプリの中からLINEを選択し、的場慧(まとばけい)と表示された場所を押す。
『先輩‼事件です‼』
そう打った数十秒後に既読。と表示され、すぐに返信が返ってきた。


