あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―

クラスメート達から見てこの構図は一体どのように写っているのだろうか。

まぁその内放っておけば勝手に静まっていくのだろうから、大丈夫だとは思うけれど。


「とりあえず梨乃、絶対別れなさいそんな彼女を財布としか思って無いような男なんかとは!」
「……そんなことっ言われたってぇぇぇぇえぇぇ」


朱の言葉が、すでにズタボロになっていた梨乃の心に更なる追いうちをかける。梨乃の心はもうすでに、虫にくわれて穴だらけになってしまった布よりも酷い状態だ。


「うぅぅっぅえぇえぇ」
「……」


ついに耐えきれなくなった涙が涙腺を越えて頬をつーっと一筋流れていく。