どことなくどころではなく、棘そのものを感じさせる朱の言葉に秀俊はズコォッと言うギャグ漫画にでもありそうな何ともありきたりな効果音を出して思いっきりずっこけた。
なにか恨みでもあるのだろうか……その猫かぶってる化粧厚そうなたいして可愛くもまったく無い猫なで声の女に……
『……つーか“今”ここでそれ言うかよ“今”このタイミングで、“今”』
今を無駄に強調する秀俊は恨めしそうな目で、朱をジーと見る。いくらなんでもこのタイミングは無いだろう。こういう時は、なんと言うか『そっか』とか『ありがとう』と言って優しく微笑んでくれたりする場面ではないのか?
少なくとも自分をそんな気色悪い女と比較される場面では無かったはず。そんな奴よりも例え『一億万倍以上可愛い』と言われても嬉しく無いし、後半の『可愛い』と言う部分でだいぶテンションガタ落ちだ。ドン底だ。


