あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



「あれ?朱もう終わったのか?てか、何で俺ここに……」


秀俊は、何故いきなり目の前に朱が現れたのかも、何故自分がこんな所にいるのかも分からないと言った体で体育館を再度見上げる。
……嘘つき。朱は秀俊に近づいて行きながら秀俊に向かってそう毒づいた。自分が何でここにいるのかくらい本当は分かってるくせに……嘘つき。秀俊の隣に来て、自分よりも大きく、いつでも朱を包み込んでくれる両手を握りながら様子を探るように見下ろしてくる瞳を見上げる。


「帰ろ?」
「……おう」


握っていた手を片方だけ離し歩き始める。外では、まだ運動部が部活動を続けていた。