あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―

朱は、蓮や凌雅が入っていった部員達の集まりを誰かの影を探すように少しだけ眺めて体育館から静かに出て行った。


「……あれ?秀?」


朱が外に出て行くと茜色から藍色に染まり始めていた空が一番に目に入る。次いで見えたのは、出入り口付近でただぼけーっと体育館を見上げる秀俊の姿。何故彼はここに居るのだろう、校門前で待っているはずなのに……
何て考えて意地悪な自分に少しだけ嫌気が差した。そんなの考えなくても分かるに決まってる。


「おーい‼秀っ」
「あ?」


朱に呼ばれやっと秀俊はこちらに気づいたようだ。