二人で軽く手を振り合って梨乃は仕事に、朱は秀俊の元へ戻るために出口に向かって歩みを進めると後ろから朱を呼び止める足音が二つ。 「おい朱!」 「朱ちゃん待って!」 体育館中に響くような大きな声で朱の名前を必死に叫ぶ。その大きさにギョッとしたのは呼ばれた本人だけでなく、休憩している部員達や梨乃もだった。 「倉橋に、的場さん!」 前半の名前は少し嫌そうに、後半は尊敬と憧れの念を込めて心から嬉しそうに呼んだ。 「何だその扱いの差は」