あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



体育館内にこだまする部員達のかけ声、キュッキュッと鳴るバッシュ、ボールを一定のスピードで床に叩きつける音。
二人は、バスケ部が使用している体育館の端の方で部員達の邪魔にならないように話していた。


「それにしてもさ、バスケ部の練習ってキツそうだね」


朱が梨乃から目を離しバスケ部全体を見回した後憂鬱そうに呟いた。


「まぁねうちはバスケでいったら強豪高に入るから、練習も真面目にやってる分、かなりキツいんだよね。たまに吐く人いるし、練習キツすぎて」