秀俊はにやける口元を片手で抑えて隠す。
どうしよう。今、物凄く幸せだ。
朱と一緒に歩いて帰る間、他愛も無い話しをして、小突きあったり、笑いあったりして、……そんな聞く人によっては、惚気にも至極くだらなくも感じてしまうような、ちょっとした瞬間。それが、こんなにも幸せだと感じるようになったのは、朱と付き合い初めてからだ。
いつか誰かに『お前って本当朱に弱いよなー』と言われた事がある。実際、秀俊は朱に弱い。いや、正確に言うと朱という人物その物に弱いのだ。
元々喜怒哀楽が激しい奴では無かったが、だからこそ二人きりのときに見せる笑顔や甘えた顔にドキリと心臓をそのまま鷲掴みされたような心地にされて……いつの日からか秀俊の心の中に居座っていた。
「……うわぁ俺すんげぇ恥ずかし何考えてんだよ」
何て今までの回想をしていて、急に恥ずかしくなったため考えるのを止めた。こんな事を考


