あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



ドヤァという効果音をつけて、自慢気な何とも形容しがたい顔をする朱を見て、いつの間にか笑っていた。


「ほら、校門前で待っててやっから行ってこいよ」
「うん!分かった!絶対秀待っててよ!」
「おう」


待っててねっと元気良く手を振りながら駈けていく朱に向けて軽く手を振り返す。

(バーカ、前向いて走んなきゃ転ぶっつーの)

心の中で軽く悪態を吐くもそのどこか微笑ましさを感じる笑顔は、どうしたって隠しきれない。

ヤバイヤバイ。一人で笑ってたら変な奴だ。
一人で笑っている自分を想像すると……なるほど。気持ち悪い。何か悲しくなってきた。


「……あーでも無理だどうしても笑っちまう」