あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



「あー楽しかったぁ美紀さんって面白い人だよねっ」
「そうかもしんねーけど……毎日あぁだと疲れっぞ」


夕暮れ時の道を二人で並んで歩いて行く。夕日が、二人を照らし出し影を色濃く写し出した。


「あ、ねぇ秀」
「ん?」
「ちょっと学校寄っていい?梨乃(りの)に渡さなきゃいけないのあったの忘れてて」


梨乃……その名前が出た途端、秀俊は、軽く眉をひそめたように見えたが、まばたきをした次の瞬間には元に戻っていた。気のせいだったのかもしれない。


「梨乃ってバスケ部のマネの?」
「……そうだよ、そもそも私もバスケ部のマネージャー、一時期やってたし~」