あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



「じゃあ行くか」
「おう」
「ちょっと私を忘れないで!?」


完全に二人で帰るかという雰囲気を漂わせて会話していた二人の間を割って入って来たのはつい先程慧の彼女(?)になったばかりの梨乃だった。梨乃は少しむくれた目で朱と秀俊両方を見る。


「忘れて無いよー」
「嘘だよぅ」
「本当だってば。あ、なんなら先輩と二人で帰ってくれば?教室そんなに遠くないし」


ね、先輩。と笑う朱は、からかいの意味も込めてこの案を提供したのだが、梨乃はまだしも慧にとっては痛くもかゆくも無いことらしく素直にその案を受け入れた。