あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



「おい、朱……起きろっつってんだろ!」
「そんなに言わなくても聞こえてるよ!」


あまりにも反応の無い朱に痺れを切らした秀俊が聞く人によっては脅しとも思われそうな大声で呼びかけるが、声をかけられる前から朱は起きていたようで耳をおさえて非難の声を上げた。


「起きてたんなら反応しろよ」
「いいじゃん別に。ちょっと観察してみたかっただけなんだし」
「アホか。時間ねぇんだからさっさと戻るぞ」
「はーい」


秀俊が先に立ち上がり、それを見ていた朱が秀俊に向かって手を伸ばす。その姿を見て『しょーがねぇな』と言う風に、伸ばされた手を取る秀俊の顔は、少しだけ嬉しそうに笑っていた。