あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



「ヤベッさっさと行かねぇと」


鐘が鳴るまでに予想以上に時間が無い。秀俊は、早歩きで朱に近づいた。その後ろを慧がついて行き、朱の目の前にいる梨乃の所まで来ると、目線を合わせるように座る。

その行程を途中まで目の端で捕らえていたが、今はそんなことをしている場合ではないと気づき、朱の肩を掴んだ。


「おい朱早くしねぇと鐘なるだろうが」


頭に負担がかからないように軽く揺するが、秀俊が思っていた通りこれしきのことで起きる気配はまったく無かった。

いつもならゆっくり起こしてもいいのだが、なにぶん時間が迫ってきているためそんな余裕は秀俊には無い。