あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―



「俺、ちょっと行ってきます」
「あっははは!俺もっ行くよ」


笑いを堪えることができなくてつい顔がニヤけてしまうのを止められずに顔を片手で覆い隠すようにして口元を重点的に隠す。

しかし、隣に立っている慧の押さえられることの無い笑い声を聞いておかしくて仕方がないと感じているのは、自分だけじゃないと知り、口元にある手をなんだか恥ずかしく思った。


前に無造作にほうり出していた両足を縮めて座っていたときに体を支えていた腕に一瞬だけ力を入れて立つ。
制服のポケットからスマホを取り出し一応時間を確認すると、学校の本鈴まで残り十分を切ったところだった。