あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―




一気にまくしたてる朱の脳天に軽く静止の意味を込めた手のひらがのる。

朱が口をつぐんだ。


「女の子が便所なんて言うんじゃありません。トイレか、お手洗いでしょ?」


もうっと怒りながらも頭を撫でる手は優しい。
慧のオネェ口調は苦手だが、この手は好きだ。頭を撫でてくれる人なんて数少ないし親でさえ撫でてくれるなんてもう滅多なことが無い限り無い。秀俊に関しては撫でられるのではなく撫でる側なので問題外だ。


「……もういいでしょ」