「ハルナちゃん分かる⁉︎ 」

ダイゴが気にかける。

「う…うん…多分……」

自信なさそうな声が聞こえる。
それを敏感に感じ取って、ダイゴが親切に説明してた。


「ダイゴ、やっさしー!」
「モテ男は違うなぁ…」


『風見鶏』達がからかう。
テレるオンナの横で、ダイゴはハッキリことわった。


「オレは面倒見てやれって言われたからやってるだけ!でなきゃ誰がやるか!こんなメンドくせー事っ!」

ビクッとするオンナ。
『きのした はるな』は、泣き出しそうな顔でダイゴを見た。


「…おいっ!ダイゴ…!」


助けるつもりはねぇが、一応黙れと声を出す。
ハッとするダイゴがオンナの様子に気づいた。


「あ…」


言いすぎた…って顔してる。


「ごめん…煩わして……」


『きのした はるな』の方が謝る。


「後は大丈夫だから…」


慌てて教室を出て行く。
しーん…とした空気が、オレ達『風見鶏』の中に流れた。



「……今の…言い過ぎだったよな…」

ダイゴが口にした。


「ああ。多分な」

同情の余地なし。


「あちゃー…」

顔を隠す。
根っからワルじゃないから、ダイゴもちょっとショックみたいだ。


「…どうしよ……」
「どうしよもこうしよも…しょうがねぇだろ。もう言っちまったんだから…!」


プリントをバッグに詰めて立ち上がる。


「ほら!帰ろーぜ!」

さっさと教室から離れる。渋々…ダイゴも立ち上がった。


(いらねー事言うからだ…。” 口は災いの元、謹め ” ってモットー忘れたのかよ…)



『風見学園』には幾つかのモットーがある。
それは、長い期間同じ学校で過ごす生徒達が、お互いの言葉や行動で相手を傷つけたりしないように作られてる。
でも、お互い馴れきった間柄だから、時には相手を思いやる事を忘れ、感情をストレートにぶつけちまう事だってある。
それらに傷つき、不登校になった奴らだっている。



(……あいつ…大丈夫かな…)


初日から手痛い思い。

『きのした はるな』を無視すると決めたオレにとっては、別にどうでもいい事だけどなーーー