空き教室内と外。

隔てているのは薄い壁とドアなのに遠い世界のように感じるのはどうしてだろう。

ボンヤリとそんなことを考えていた私は

「……痛ぇ……」

ポツリと呟く北山先輩の声で我に返った。

伏し目がちに下げられた視線。

私が力任せに叩いた頬は赤くなっていた。

原因はなんであれ、手を上げるのはいけないことだから謝らなきゃとか……。

僅かに切れ、血が滲んでる口端を拭いてあげた方がいいのかもとか……。

保健室に連れて行った方がいいのかなとか……。

校医の先生はまだいるかなとか……。

色んな事が頭の中を駆け巡ったけど

「……」

私はなにひとつ行動に移すことができなかった。

それがいけなかったんだと思う。

私が何もできずただ立ち尽くしているだけだったから、北山先輩の怒りのボルテージが上がってしまったんだと思う。



「……女に殴られるのとか初めてなんだけど」

「……」

私に言っているのか

「……マジ最悪」

「……」

独り言なのかがよく分からない。

「ちょっと可愛いと思って優しく構ってやったら」

「……」