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放課後。

ホームルームが終ると、既に北山先輩が廊下にスタンバっていて、私は鞄に荷物を詰める暇もなく教室から連れ出された。

連れて行かれたのは化学準備室。

相変わらず、埃っぽいそこはカーテンが引かれていてなんとなく薄暗い。

そんな場所から早く出たいと強く思った私は北山先輩がドアを閉めた瞬間に問い掛けた。

「北山先輩、話ってなんですか?」

「なぁ、姫花。いつになったら呼んでくれる?」

「呼ぶ? なにをですか?」

「俺の名前」

「名前?」

「“北山先輩”じゃなくて“友輝”って呼んでくれって頼んだよな」

「……あっ……」

そう言われてみれば、知り合って最初の頃にそう言われた気がしないでもない。

「それと敬語もなしって約束じゃなかったっけ?」

約束と言う程のものじゃなかった気がするけど、敬語は使わないように言われていたことを思い出した私は

「……すみません」

小さな声で謝った。

「別に謝る必要はねぇーけど」

「……」

「名前を呼ぶとかタメ語で話すとか難しい?」

「難しいっていうか……」

「うん?」

「慣れなくて」

「慣れない?」