「じゃあ、学食でも行ってくるかな」

そう言って私達に背中を向けた北山先輩に

「えっ?」

驚いた様に小さな声を発したのは私じゃなくて乃愛だった。

当然、私も乃愛と同じように驚き喉まで言葉が出掛っていたけど必死でそれを飲み込んだ。

先輩がこのままここから出て行ってくれるならそっちの方が私には断然都合がいい。

最近、お昼休みに乃愛と一緒に過ごせないからゆっくりと話もできていない。

北山先輩と乃愛。

どっちと一緒に過ごしたいかと問われれば私は即答で

『乃愛』

と、答える。

だから、私は頑張った。

口から驚きの声が飛びだしそうになったけどそれを必死で飲み込んだ。

そんな私達の反応を他所に北山先輩は本当に教室を出て行くらしく、背を向け出入り口へと向かう。

いつもとは明らかに違う北山先輩の言動に

……なにか悪いものを食べたんだろうか?とか

……もしかして、あれは北山先輩本人ではなく、そっくりサンじゃないんだろうかとか

そんな考えまで浮かんでくる。

「あぁ、そうだ」

「……!?」

何かを思い出したように北山先輩が振り返ったから良からぬことを考えていた私の心臓はバクバクと不穏な動きをした。

「姫花、今日の放課後話があるんだけど時間を取ってくれねぇ?」

「放課後は……」