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クラスメイト達も北山先輩がこの教室に現れることに慣れてしまったのか最初の頃のように騒然となることもなく

先輩が教室に入った瞬間、多少の視線は向けられるけど

それだけで済むようになってきた。

そして、今日も日常になりつつあるこの時間を迎える。

「姫花」

すっかり聞き慣れた声は、わざわざ顔を見なくても誰か分かってしまう。

まるで自分の教室に入るかのような足取りで1年生の教室に入ってきた先輩は挨拶代わりのような口調で

「昼飯食おうぜ」

そう言ってくる。

だけど北山先輩が私の教室を訪れるのはお昼休みが始まって20分程経った頃で、その時間帯にはほとんどお弁当の中身は私の胃袋に収まってしまっている。

今日だって、北山先輩の声が聞こえて来たのは私がお弁当を食べ終わり、蓋を閉めたタイミングだった。

だから私は答える。

「すみません。もう、食べ終わりました」

「マジ? 早くね?」

「そんなことはありません。みんなほとんど食べ終わってます」

私の言葉に教室内を見渡した北山先輩が

「なら、明日からはもう少し早く来るかな」

ポツリと呟いた言葉を聞き逃さなかった私は

……それはマジで勘弁

心の中でひっそりと呟きつつも、私は聞えないフリを貫き通した。

いつもならここで北山先輩は私を教室から様々な理由を付けて連れ出そうとする。

だけどこの日は違った。