その足取りは、心と同じように重い。

……お兄ちゃんに電話でもしてみようかな。

でも、『さっき見たよ』なんて言ったら『なんで声をかけねぇーんだ?』って聞かれるだろうし……。

『女の人達に囲まれていたから』って本当のことを言ってもいいんだけど、そう言った時のお兄ちゃんが言うだろう言葉は分かっている。

『そんなの気にしてんじゃねぇーよ。あんな女たちよりお前の方が遥かに大切だって分かってんだろ?』

お兄ちゃんを取り囲んでいた女の人達が言われたら間違いなく鼻血を噴き出すか、腰が抜けてしまうだろうセリフを吐くに決まってる。

お兄ちゃんはそういうセリフを恥ずかしげもなく口にできてしまう人だから。

私は妹だから、『はい、はい』って聞き流せるけど……。

……っていうか、ちょい面倒くさい気がしないでもないけど……。

ううん、ものすごく面倒くさい。

これだけ疲れている時に、お兄ちゃんと話すともっと疲れてしまうような気がする。

……もう、いいや。

今日は、さっさと帰って早く寝よう。