相変わらず私の鞄は先輩が持っている。

私と手を繋いでいる反対側の小脇に自分の鞄と私の鞄を器用に挟んでいる。

……鞄さえ返してもらえれば、隙を見て逃げられるかもしれない。

そう考えた私は

『先輩、鞄重くないですか? 自分で持ちますよ』

さり気なく返してもらおうと思ったけど

『全然平気』

にっこりと余裕の笑みを返されただけだった。

……笑みじゃなくて、私の鞄を返して欲しいんですけど……。

残念なことに私の想いが先輩に届く事はなく、密かに企てた作戦は失敗に終わってしまった。



それでもこの居心地の悪さもあと15分も我慢すれば解放されるんだと自分に言い聞かせていた。