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先輩は確かに言った。

『帰ろう』って……。

その言葉を聞いた大抵の人は家に帰る事を連想すると思う。

私だって例外じゃない。

『一緒に帰ろう』イコール“途中まで一緒に帰って、それからはそれぞれの家に帰ろう”

そう解釈していた。

それなのに……。

先輩は校門を出る時『家はどこ?』そう聞いた。

その質問がどこまで一緒に帰るかの決める羅津になるんだと思った私は『南街の駅の近くです』と答えた。

『南か。俺は西街の駅が最寄駅なんだよな』

残念そうに呟く先輩に曖昧な笑みを返しながら、私の脳内は素早く計算を開始した。

私が南で先輩が西。

……という事は、一緒に駅まで行ってそれぞれ違う路線の電車に乗る事になる。

中央区にある学校から駅までは程度。

……よし、15分だけ我慢すれば私は解放してもらえる。

たった15分ぐらいなら……。

校門を出る時、確かに私はそう考えていた。

……それなのに、私と先輩が駅に着いたのはそれから約2時間後だった。