「じゃあ、とりあえず俺と付き合ってみようよ」

「……とりあえずの意味が全然分からないんですけど……」

「大丈夫。そこは特に気にするところじゃないから」

「そうなんですか?」

「うん」

「でも、私、先輩の名前すらも知らないですし」

「北山 友輝」

「……はい!?」

「俺の名前」

「……はぁ……」

「じゃあ、友達以上に恋人未満からのスタートってことで」

差し出された右手を私は咄嗟に握ってしまった。

「……あっ……」

この手は握っちゃいけなかったかもしれない。

そう、思ったときにはもう遅く

「よろしくね、姫花ちゃん」

先輩はとても満足そうに笑っていた。

至るところにツッコミどころが満載で

尚且、よく分からない事も満載な先輩からの呼び出しはその後も先輩に一方的に押しきられる形で

『先輩』ではなく『友輝先輩』と呼ぶことを強制的に約束させられ私は漸く解放してもらえた。

これだって本当は名前を呼び捨てにするように言われたけど、きょうはじめて喋った人を呼び捨てでなんて呼べないと散々拒否った結果、お互いが折れるという形になりそう呼ぶことが決まった。