「どこがおかしかったんでしょうか?」

入学式の朝。

身支度を整えている時から家を出るまで私は何度も全身を鏡でチェックしていた。

それは新たな出発の日に失敗があってはいけないと思っていたからで……。

自分では完璧だと思っていたけど、実際はどこかおかしい所があったのかもしれない。

「今後の参考におかしかったところを教えて頂けると助かるんですが」

「……」

「あの……先輩?」

下から顔を覗き込むと、先輩はハッと我に返ったような表情を浮かべ

「……いや、そうじゃない」

「え?」

「どこかがおかしくて気になったとかそんな話じゃなくて」

「違うんですか?」

「うん、違う」

「じゃあ、なにが気になったんですか?」

「綺麗だなって思って」

「……」

「……」

たっぷりの間を置いて

「……」

「……」

「……はっ?」

私はすっ呆けた声を発した。