「あ……ありがとうございます。お金は後から……」

「要らない」

「え?」

「最初から、奢るつもりだったから金は要らない」

「でも……」

「その代わり、笑ってくれる」

「……はい?」

「嬉しそうに笑ってくれると俺も嬉しい」

「……」

「……てか、ジュースぐらいじゃ喜べねぇーよな」

少しだけ困ったように笑った先輩が色素の薄い茶色い髪をガシガシと掻く。

大人びて見えていた先輩が、この時ばかりはなんだか幼く見えて

「ありがとうございます。喉が渇いていたから嬉しいです」

思わず笑ってしまった。

そんな私を見て、先輩はほんの一瞬だけ驚いた様に動きを止め

次の瞬間には、その表情を綻ばせた。