「どうした?」

「お財布」

「財布?」

「教室に置いてきたみたいで……」

急な呼び出しだったから、お財布を鞄に入れたまま来てしまい、ポケットに入っているのは、いつも肌身離さず持ち歩いているスマホだけだった。

「……飲み物は要りません」

「は? いらないの?」

「はい」

「なんで?」

「なんでって……お財布置いてきちゃったし」

「なんだ、そんなことか」

先輩はそういうと、後ろポケットから黒い革の長財布を取り出し、自販機にお金を投入する。

「好きなのを選んで」

「は!?」

「早くしないと金が出てくる」

「え!?」

「ほら、急いで」

急かされた私は、咄嗟に目に付いたミルクティーのボタンを押していた。

それを見届けた先輩が続けざまに炭酸飲料のボタンを押し

取り出し口から2本のジュースを取り出すと

「はい」

ミルクティーを私に差し出す。