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エントランスを抜け、外に出ると少し離れたところに停まっている1台の見覚えのある車。

その車に駆け寄ると、私は半分ほど開いていた窓を叩いた。

「お兄ちゃん、お待たせ!!」

運転席に座っているお兄ちゃんは手元のケイタイから私に視線を向けると優しい笑みを浮かべてくれる。

「時間通りだな、姫花」

「だって、時間に遅れるとお兄ちゃんに怒られるもん」

「そうだな。よく分かってるじゃねぇーか」

「もちろん。それで何度もお説教されたし」

「……よく覚えてんな」

「あの強烈なお説教を忘れられる方がすごいと思うけど」

「それもそうだな」

苦笑したお兄ちゃんが

「乗れ」

運転席から手を伸ばし、助手席側のドアを開けてくれる。

「うん」

私は滑り込むようにそこに腰を降ろした。