1歩そしてまた1歩。

彼はゆっくりとした足取りで私に近付いてくる。

それに合わせる様に私は1歩また1歩と後退する。

……距離を保ちたい。

ううん、保たないといけない。

そう思った私は警戒心を最大にして彼を見据える。

だけど、私の行く手は整然と並んでいる机によってすぐに遮られた。



逃げ場所を失った私のすぐ傍で足を止めた

「……なに? 俺が怖いの?」

嘲笑うかのような口調。

「怖いなら逃げれば?」

彼は私を獲物を追い詰める様に楽しそうな眼で見下ろしている。