「父親も何処へ行ってるし、あたしは 本当に何も知らない。一度でいいから お母さんって呼びたかった」 「うん」 「あたしには家族がいない。 さ、び……しぃ」 寂しいという言葉を口にしたくは なかった。 だけど、もう限界だった。 涙が止まらない。