そんな中始まる修学旅行。

まず最初に来たのは首里城。



「ここは琉球王朝時代の王城でー…」




ガイドさんの話を聞いて、みんなで見学をする。


先生たちも一緒に歩いてるけど……佐伯先生、何ていうか。





「…これ飲みますか?」






さっき佐伯先生に渡そうと思って、ここに来る途中の自販機で買ったペットボトルを渡す。



「え、」


「疲れてませんか?」




少し目をみはる佐伯先生。

なんで分かったの、って顔だ。





「ありがとう、お金後でいいかな?」



「お金はいいですよ」


「そんなわけにはいかないよ」



周りにいた先生たちが、水島さんは優しいわね、さすがね、なんて言ってくれるけど…そんなことなくて。


優しいから、とかじゃない。

良い子だからでもない。


むしろ、佐伯先生と話せるからって喜んでる悪い子だよ…。




久々にしっかり正面から見た佐伯先生は、たぶん少し疲れてる。


修学旅行って、先生は大変だよね…。





そう思いながら、渡したお茶を飲んでくれる佐伯先生を見て嬉しくなった。