南野の話を聞き終えたあたしの目には涙でいっぱいだった。

あの日出会ったあたしのヒーローが、今こうして隣に座っている。


「俺はチョコが嫌いなんじゃなくて、チョコを見てると弱い俺に戻った気がするから苦手なんだ。ずっと黙っててごめん」


何も言えなくて、ただ首を横に振った。


「………南野、あたし知ってた」

「は?」

「南野が風邪引いたときさ、読んじゃったんだ、その手紙。書いてあった言葉が10年前の初恋の人と同じ言葉だったから気づいた」