幼い俺は、怖くてたまらなかったけど、それでも陽毬を助けに行った。

だって俺は、陽毬のヒーローだから。

なのに、さ。


「陽毬!!」

「あ、大河ぁ!」


陽毬を見つけたと思ったら、笑ってるし、なんか食ってるし。

気が抜けたと同時にホッとした。

…………のも、つかの間。


「大河!あたしね、絵本で読んだ、『はつこいのひと』見つけたよ!!」

「………え?」

「あたしの王子様で、あたしを助けてくれた、ヒーローさんなんだよ!」