もうこの夏祭りに来るのは何回目だろう
海咲がいなくなってから毎年来る夏祭り
最初は見る度に吐き気がしたあの毒々しい花火だって
今は少し綺麗だなと思えてきた
薬に溺れて痛みの意味がわからなくなるように神経の麻痺してしまったのかな
僕はそれでもいいと思った
麻痺することだってピリッと痺れるスパイスの一種だ
あの少し綺麗な花火がまるで
君が笑っているようで
僕は夏の生ぬるい風を吸い込んで
この瞬間を忘れまいと目を見開いた
そして
「また明日」
と呟いた
海咲…君は笑っていたね
僕は海咲がいなくなってから初めて
涙を流した
ずっと捲られることのなかったカレンダーが
今そっと捲れたような気がした
僕にも明日が来るような気がした
fin…