月影の涙Ⅱ~私はただの人形~【完】

『へ?殺し屋?』

「あぁ。そうだ。」

『それって人を殺すお仕事?』

「そうだ。いつか瑠璃に話さなきゃいけないと思ってた。」

『ふーん。そうなんだー。』

「え?俺を怖がらないのか?」

『そんな訳ないじゃーん。私は亮の優しさを良く知ってるから。』

「瑠璃……ありがとよ。」

『どういたしまして!☆』

「瑠璃はいつも元気だな。」

『そうか、な?』

「そうだよ。」

『……』

「瑠璃?ごめん。変なこと言ったか?」 

『ううん。言ってない。』

「そうか。びっくりしたよ。」

『わ、私……』

「ん?なんだ?」

『私まだ亮に伝えなきゃいけない事ある』

「そうなのか?」

『うん。だから、聞いて?』

「俺が聞いてもいいのか?」

『うん。亮だから聞いて欲しいの。』

「わかった。なんでも話してみろ。」

『うん。わかった。あのね?……あのね?

私の本当の名前は………………なんだ。』


濁って聞こえた。なんだ?本当の名前!?瑠璃は瑠璃じゃないのかよ!


「え?そうなのか?」

『うん。やっぱり嫌いになっちゃう?』

「ならねーよ。瑠璃はいつまでも瑠璃だ。その名前で呼んで欲しい時は呼んでやるから。」

『うん。ありがと。』

「おうよ。」

「…………お前も仕事やるか?」

『え?こ、殺し屋?』

「そーだ。けど、嫌ならそれでいい。瑠璃は普通の生活もできるんだ。」

『……私は仕事をやる!』

「え、いいのか?だって殺し屋って犯罪だぞ」

『うん。知ってる。けど、私は亮と同じのやるの!』

「でも、今からなら普通の生活に……」

『やるの!』

「ふっ、わかったよ。じゃあ、特訓するぞ!」

『特訓?』

「そうだ。特訓だ。殺しのな。」

『やるー!』


それから殺し屋になるための特訓が始まった。
それが1年で習得できてしまった。

そして、何回か仕事にも行くようになって、
亮を『ボス』と呼び始めた。