月影の涙Ⅱ~私はただの人形~【完】

それから10分ほどたっただろうか。私はそのまま立ち尽くしていた。

そこに1人の男が公園に入ってきた。


「お前なにしてる。」

『何もしてない。』

「家でか?まだお前小さいだろ。」

『家なんてもうない。』

「……そうか。なら俺ん家にこい。」

『え?』

「大丈夫だ。お前は1人じゃない。そのままだと風邪を引くぞ?」


そう言って大きな手で頭を優しく撫でた。なぜか、初めて撫でられたのにそれがすごく安心してしまう。

撫で方がお母さんに似ていて……あの優しく撫でるお母さんの姿が脳裏に浮かぶ


『……ふっ、ふぇ、おかぁ、さ、お母さん。おいてか、ないで。お母さんー』

「お、おい。急に泣くなよ。俺が泣かした見たくなるだろ?取り敢えず俺ん家こい!」

『…ふ、ふぇ、お、お兄さん、だ、れ?』

「鷹杉 亮 (たかすぎ りょう)だ。」

『たか、すぎ……りょう?』

「そーだ。お前行くの行かないの?」

『……行く。』

「わかった、じゃあ行くぞ。」

『うん。』




だからか。見た事があると思った。俺達は顔を見合わせる。瑠璃にこんな事があっただなんて

葉月……アイツだけは許せない。瑠璃の人生を奪ったアイツが。なにを今のこのこと生きてるんだ!

ふざけるな。