完璧な下剋上とは……

困惑するナゴミをほっといて、四葉は詠芽から借りたらしい資料ファイルを広げた。

履歴書のような紙の左上には、千利恵に似てるがどこか指名手配犯のように人相の悪い女が写っていた。

「んーと、千利恵さんのお母さんの名前は生井 ミサ子(なまい みさこ)。ちょいちょい子供の教育関係のテレビに出てるらしいけど、彼女の意見は一方的で周りの事を考えて無さすぎるから、最近人気がガタ落ち中」

初めて知った人物だが、娘の意見一つ聞けないのなら大方そんな人だろう。

「でもさ、どうするの?小学生相手に屈するような人には見えないけど……」

「だから、カザに協力してもらうんだよ」

再び花厳の名前が登場したという事は……美奈の件やリンと遥加の件とはまた違う、大人に手伝ってもらわないと出来ない事をするのだろうか。

「カザ、今度大学生探偵としてちょっとだけテレビに出る事になったんだ。そのチャンスを使う」

「チャンスを使うって……花厳さんに何かお願いするの?」

「うん。少し、ね」

察しろよとばかりにウインクを飛ばす四葉はかなり可愛いが、その顔の奥底にあるどす黒い闇が隠しきれてない。

今度は何が起こるのだろうか。

予想不可能すぎてナゴミは頭を抱えたくなる。