そしてどういう訳だか山茶花には敵が多く、こうして広い家に潜む輩に命を狙われる事もしばしばあった。

少し前の遥加とリンの件では脅しとして役に立ったが、やはり無闇矢鱈に振りかざしたくはない。

この薙刀は、本当に大切な誰かを守る為に最終手段として使うようにと与えられたものだ。

山茶花が大切じゃないというわけではないが、山茶花ほど肝の座った女性なら一人でもどうにか出来そうな気がする。

というかそもそも原因を作らなければ良い話なのだが。

「ネズミ退治ご苦労様。先に戻ってて構いませんよ」

「…………はい」

そういう山茶花はニコニコしながら着物姿で男にヘッドロックをしかけている。

警察が来るまでこうして捉えているつもりらしいが、男は肩口から血が出てるし白目剥いてるしで半分死にかけている。

祖母が殺人犯にならないよう祈りつつ、ナゴミはヤバい光景を後にした。