「悪い悪い、私じゃ髪長すぎてウィッグ入んないし、ナゴの方が遥加と雰囲気近いから、リンを自白させるのに丁度良いと思ってさ」
魔女の衣装のままの四葉は、ツインテールと一緒に引きずりそうなマントを翻しながら会場内を闊歩する。
照明がそれを追いかけるように四葉と遥加の格好をしたナゴミを照らす。
これは事前の打ち合わせ通りで、遥加が操作してる。
「ち、違う!!自白ってなーに?嘘言わないでよー、四葉ちゃん、アレは全部事故だよー?」
冷や汗をダラダラと垂らしながら、リンは必死に弁明しようとする。
「蛍光灯が落ちてきた時、新体操部のリボンが壊れてた」
リンの言い分を完全スルーし、四葉は話を続ける。
「リボンを棒から外して蛍光灯の接続部分に挟んどいて、遥加と一緒に来た時に素早く引っ張る。そしたら不幸な事故の出来上がり。まぁ指紋とか調べりゃ分かるんじゃないか?」
腰を抜かしたまま、衣装の裾をきつく掴むリン。
その姿は白雪姫というより、シンデレラの結婚式を見ている継母だ。
悔しさと哀れさで顔が歪んでる。
「前に起こってた事件も、全部テニス部と手芸部関連。あとテニス部の友達がいる手芸部員、手芸部の友達がいるテニス部員は鷹嘴 リンと栃本 遥加だけだった」
これは詠芽がくれた情報だ。

