「ワタシの事、人形か何かだとでも思ってる……?ワタシは、人間だよ。リンちゃんの言いなりになんて、ならない」
薙刀の刃先はトンとリンの首横の床に立てられた。
「自分の勝手な独占欲で皆に迷惑かけて……そんなリンちゃん、ワタシは大っ嫌いだよ!!」
「……ーっ!だってー!ハルはすぐ他の人の所行こうとしちゃうんだもん!!ハルの親友はアタシなのにー!!」
リンは堪らず叫び出した。
枯れそうな声が薄暗い体育館の中に響く。
「アタシ悪くないもん!!!ハルがいけないんだよ!!?」
カッと開かれた瞳は、涙でぐしゃぐしゃだ。
「昔はアタシにベッタリだったくせに、最近になって急に勝手に動いちゃうんだもんー!!こ、こうでもしないと、ハルはー……!!」
「はーい、カット」
カチンコの音と気の抜けた四葉の声がどこかから聞こえてきた。
「ナゴ、お疲れ。もう降りて良いよ」
「え?」
「ふぁー、疲れた!」
薙刀を持った少女がウィッグを外す。
その姿は、遥加と同じ制服の着こなしをしたナゴミだった。
「もー、セリフとはいえ暴言吐くのツラいよ~」

