「寝ても構わんぞ、家に着いたら起こしてやるから」

運転席から花厳の低い声がした。

「ありがとうございます……」

お言葉に甘えてまどろむ。

花厳が気を利かせたのか、オルゴールのゆっくりとした音楽をかけた。

天使のような電子音が、夢の世界へ誘う。

ナゴミは溶けるように眠りについた。