「ほら、危ないから僕らは帰ろ。壊れた食器代とかは、美奈さんがどうにかしてくれると思うから」
詠芽と四葉と歩きながら外へ向かい、いつの間にか来ていた花厳の車の後部座席に乗り込む。
花厳の顔は街灯に反射して、また見えなくなってしまった。
「いやー、学校行くの楽しみ〜♪」
「だねー!僕もわくわくしちゃう!」
あははっと楽しそうに笑う四葉と詠芽。
「これで、良いのかな……」
ナゴミの口から零れるように言葉が出た。
「ん?」
流れで四葉に加勢してしまったが、家族が警察関係の人間だからって、篠崎が四股したからって、ここまでやって良いのか?
もしかしたら、第三者から注意を受ければ反省して二度とやらなくなるかもしれない。
あるいは、ただ寂しがりなだけかもしれない。
なのに、ここまでして本当に大丈夫なのだろうか?
お金だとか、法律だとか、そういう問題じゃなく、もっと道徳的な……人間的な優しさとかの問題として処理した方が良かったんじゃないか。
「ナゴ」
隣に座っていた四葉が、ナゴミの肩を優しく叩いた。
やけに真剣な声。
ナゴミは顔を上げて四葉と目を合わせる。

