恵実さんの暴走を止めなくていいの?と聞こうとしたが、ボーイに手を引かれて部屋の外に出された。
よく見るとこのボーイ……
「え、詠芽さん?!」
伊達眼鏡を掛けていたが、四葉の三番目の兄、詠芽の顔だった。
四葉によく似た顔が、茶目っ気たっぷりにウインクを飛ばす。
「いやー、めんどいから僕は参加しない予定だったんだけど。なんか面白そうだったからさ〜、来ちゃった☆」
「ついでだから、この中の乱痴気騒ぎを撮るためにカメラも置いといてもらったんだ」
「カメラって……何のために?」
「玲瓏学園内各所に設置されてるモニター画面に映すんだよ、今回の件を皆に知らせる為に。あんな最低野郎に美男子コンテスト優勝者なんてもったいない肩書き、いつまでも付けとく訳いかないでしょ」
……少しやりすぎじゃないだろうか?
確かに四股していたとはいえ、篠崎はまだ男子高校生だ。
それに、プライバシーとか個人情報とか、強要罪とか脅迫罪……
どれが合っててどれが当てはまらないのかは分からないが、『良いこと』では無いことは、小学生のナゴミでも分かる。
扉の向こう側から、悲鳴と奇声と物が割れる音が聞こえてきた。
美奈と恵実辺りが怒りをぶつけまくってるのだろう。

