「「!!」」
深月が肩にかけていた鞄を、篠崎はさり気なく持ってあげた。
「重いでしょ、そこまで持っててあげるから」
「い、いいです!大丈夫です!重くないですから!」
「女の子が遠慮するんじゃねーよっ、深月ちゃんはいつも頑張ってんだから、もっと頼っても良いんだよ?」
「あ、あり、ありがとうございます……」
深月は顔を赤くしながら俯いた。
傍から見れば応援したくなるような仲睦まじいカップルだが、篠崎が美奈の恋人である事を忘れてはいけない。
「しっかしまじで最低だな、同年代ならともかく、中学生に手を出すとは……女なら何でもいいのか?いや、それともロリコンの類なのか……」
「確かに、美奈さんも茜さんも深月さんも、全然違うタイプだったもんね……なんか、彼女達が可哀想になってきちゃったよ」
美奈さん、浮気相手じゃなく、彼の方をこてんぱんにした方が良いんじゃないでしょうか。
そう思いつつナゴミは、忘れない様に手帳に浮気相手二人の名前をメモした。
「じゃ、また今度ね。テスト頑張って」
「はい!怜真さんも、部活頑張ってください!」
深月の家らしいマンションの前で、二人は一時の別れを告げた。

